RICE処置とは?「急性期だけじゃない」和からだみなおし処が考える”ステージ1″のケア
ハリーちゃん
ハリーちゃんケガしたときって「とりあえず冷やす」って覚えてる人、多いよね。
院長
院長ちゃんと知っておくと、回復までの時間が大きく変わるんだ。当院では、痛みやケガの状態を4つのステージに分けて考えていて、強い炎症が起きている状態(ステージ1)でよく行うのがRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)。臨床経験と最新の知見を踏まえてお伝えするね。まずは四コマからどうぞ。
足首をひねるハリーちゃん「ぐきっ!」
氷を手に迷うハリーちゃん「とりあえず 冷やす…で いいの?」
院長「時期じゃなく いまの状態で 考えよう」
足を高くして冷やすハリーちゃん「安静・冷却・圧迫・挙上 で ひと休み」
この記事のポイント

RICEは「ケガ直後だけ」が対象ではない。
「身体に余裕がない状態」で最も力を発揮する。

ステージ1とは?

ステージ1の特徴周囲から見ても「明らかに辛い」。動くことが困難な状態。この時期の対応として、RICE処置を行います。

RICE処置とは

ソファで休むハリーちゃん「R 安静 痛む動きは しない」
氷で足首を冷やすハリーちゃん「I 冷却 氷で 15〜20分」
弾性包帯を巻くハリーちゃん「C 圧迫 きつすぎず ゆるすぎず」
足をクッションで高くするハリーちゃん「E 挙上 心臓より 高く」

RICEは、次の4つの頭文字をとった、痛みと炎症を抑える基本原則です。

RRest(安静)目的:炎症の拡大を防ぐ

痛みのある動きは避け、患部を守ります。早い段階での無理な運動は逆効果です。

IIce(冷却)目的:痛み・腫れを抑える

冷却は「氷(氷水)」が最も安全かつ効果的です。時間の目安は15〜20分(「感覚がなくなるまで」が一つの基準)。

CCompression(圧迫)目的:内出血・腫れを防ぐ

弾性包帯で適度な圧をかけます。ゆるすぎると効果なし、締めすぎると血流障害。バランスが重要です。

EElevation(挙上)目的:血液・リンパの滞留を抑える

患部を心臓より高くすることで、腫れや内出血を抑える狙いがあります。

冷やすのは、氷? 保冷剤?

氷(氷水)皮膚に直接使ってOK/皮膚トラブルのリスクは低い/常に0℃で、冷却効果が最も安定して高い/実臨床での推奨度 ★★★★★
保冷剤(アイスノン等)当て布が必須/温度差で皮膚トラブルのリスクが高い場合あり/温度が一定でなく下がる/推奨度 ★★☆☆☆

氷(氷水)は溶ける過程で常に0℃を保つので、深部の熱を効率よく奪えます。0℃より高くても低くても、冷却効果は下がります。

重要冷却は、時間を守ることが最重要です。やりすぎは凍傷のリスクがあります。
効果的な冷却サイクル

冷却 15〜20分 → 圧迫 40〜45分
これが1サイクル。1日数回、状態に応じて繰り返します。

「急性期」ではなく「ステージ1」で実施する

足首に包帯を巻いたハリーちゃん「1週間 たったから もう 冷やさなくて いい?」
院長「強い炎症が 続いていれば RICEが 必要なんだ」

一般的にRICE処置は、急性期(ケガの直後)に行うもの、つまり時期で考えます。当院では、時期ではなく状態で考えています。

実際の臨床現場では、時間が経っていても急性期のような状態の方はたくさんいます。「時期」で判断すると、誤った対応で症状が悪化するケースを多く見てきました。

院長
院長大切なのは「今の身体がどのステージか」。1週間前のケガでも、強い炎症が続いていればRICEが必要なケースは少なくないんだ。

RICEから PEACE & LOVE へ

本を読んで首をかしげるハリーちゃん「RICEって もう 古いの?」
院長「否定じゃなくて 科学的な 整理なんだ」

RICEが提唱されたのは1980年代。当時は「とにかく炎症を抑える」ことが中心でした。研究が進む中で、次の課題が見えてきました。

冷やしすぎると回復が遅れることがある
早すぎる安静は関節機能を落とすことがある
心理的な不安が回復を妨げる場合がある

「回復にはもっと観る視点が必要だ」という認識から登場したのが、PEACE & LOVE(ピース アンド ラブ)です。

参考:Soft tissue injuries simply need PEACE & LOVE(British Journal of Sports Medicine)

PEACE(即時ケア)Protect(保護)/Elevate(挙上)/Avoid Anti-inflammatory(抗炎症薬の使いすぎを避ける)/Compression(圧迫)/Education(教育)
LOVE(継続管理)Load(適切な負荷)/Optimism(前向きな心理)/Vascularization(血流を良くする)/Exercise(運動療法)

アイシングについて:当院の考え

近年「アイシングは治癒を遅らせる」との主張が取り上げられることがあります。しかし現段階で当院が把握している限り、次のように考えています。

元論文の研究方法の詳細が確認できていない → 判断材料として十分とは言い難い
実際の臨床現場とは条件が異なる可能性が高い
信頼性の高いデータを直接確認できていない(PEACE & LOVEの元論文を読んでも、断言的な根拠は読み取れない)

現時点では、「アイシングで治癒が遅れる」と断定する根拠は不十分。それよりも「適切な氷による冷却で改善した症例が多い」という臨床結果を重視します。

当院は、臨床で見ている「実際に良くなる身体の反応」を最も重視し、新しい科学的知見がアップデートされれば柔軟に取り入れていく姿勢です。

消炎鎮痛剤について

PEACEはRICEと比べて、「消炎鎮痛剤の使用」を推奨しない点が大きく異なります。背景には次の考え方があります。

炎症は、回復に必要な反応
強く抑えすぎると、修復を妨げる可能性がある

当院(鍼灸師)は薬を処方できません。そのため薬の判断は医師に委ねますが、患者さんは日常で薬と向き合う場面が多いものです。次のようなケースでは、正解はなく、双方のリスクを考えて選択することが重要です。

痛みが強すぎて、心身のストレスが大きい
眠れない、仕事にならない
痛みによって、炎症が悪化する可能性がある

ゼロリスクの医療は存在しません。だからこそ、理解した上で、自分で選択することが大切です。

まとめ

つらいうちは RICE、動けるようになったら LOVE が一番早い回復。

ステージ1(強い炎症期)は RICE が最優先。ケガ直後に限らない
ステージ2・3 は LOVE へ移行。動かしながら治す
PEACE & LOVE は「古い考えの否定」ではなく科学的な整理
特に Protect(必要以上に負担をかけない管理)と Education(セルフケアの質)が重要

今の症状、どのステージ?

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「冷やし続けていいの?」「安静はいつまで?」と迷ったら、今の症状のステージを一緒に確認しましょう。

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